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保険の入れ歯と保険外の入れ歯の違い

部分入れ歯や総入れ歯の治療を始める前に、保険診療で受けるか、保険外の自由(自費)診療で受けるかを、選択していただくことになります。保険診療の特長としては、費用負担が少ないことが挙げられます。自由診療の特長は、入れ歯の材料の選択肢が広がることが挙げられます。どちらが適しているかは、患者様一人ひとりによって異なります。ここではそれぞれの特徴についてご紹介します。

保険入れ歯と自費入れ歯の目的の違い

「噛めればよい」ではなく、「噛んで健康になる」ことを目指す

保険入れ歯と自費入れ歯の目的の違い

食べることは、私たちが生きていくうえで必要不可欠であり、日常生活のなかの楽しみのひとつでもあります。それを思うようにできなくなってしまったら、食事の楽しみが半減してしまいます。いままで当たり前のように噛んで味わっていたのに、「噛みにくい」「味や温度を感じにくい」という状態になることは、大きなストレスになります。

それよりもさらに大きな問題となるのが、しっかり噛めないことにより「全身の健康を損なう」ことです。口の健康は全身の健康に直結しているため、しっかり噛めなくなることで脳に刺激が伝わらなくなり、脳の活性化、ストレス解消、生活習慣病の予防などの大切な働きが妨げられるようになってしまいます。つまり、しっかりと噛むことが全身の健康を支えるといっても過言ではないのです。「たかが口の問題」「噛めればいい」と、噛むことを疎かにしていると、将来的に健康を損なってしまうことになります。

以上のことから、入れ歯をつくるときには「噛む」という視点から慎重に考える必要があるのです。


しっかり噛めると健康になるわけとは?

保険入れ歯と自費入れ歯の目的の違い

「噛むこと」は、全身の健康維持・促進に大きな影響を及ぼします。長寿の秘訣のひとつにもあげられているほどです。
しっかり噛めると、年齢や性別を問わず、主に以下のような効果を得ることができます。

●脳の活性化
噛むことで、脳の中のさまざまな領域が活性化します。前頭前野(ぜんとうぜんや)は、思考、意欲、創造、喜怒哀楽、コミュニケーションなど人間らしさを司る働きをするので、ここが活性化することで充実した社会生活を送ることができます。また、記憶に関わる海馬(かいば)も刺激されるので、記憶力が良くなります。とくに高齢の方ほど顕著に活性化することがわかっているので、認知症の予防などにも有効です。

●ストレスの解消
ストレスに勝てるかどうかを左右するのは、脳の扁桃体と前頭前野です。ストレスを感じると扁桃体と前頭前野の神経活動が活発になりすぎてしまうので、ストレスに対する脳の反応を抑えれば、ストレスによるダメージを受けにくくなります。よく噛むことで、扁桃体と前頭前野の神経活動を抑えられるため、ストレス解消につながります。

●肥満など生活習慣病の予防
生活習慣病とは、食事や運動、喫煙など日常生活のなかでの習慣に起因する病気のことです。食習慣に起因する生活習慣病のひとつに肥満があります。肥満はそのほかの生活習慣病の原因にもなるため、予防・解消する必要があります。肥満のタイプのひとつ、内臓脂肪型肥満(内臓の周りに脂肪が蓄積するタイプの肥満)は、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の原因となり、それらを発症することより動脈硬化(※1)になる可能性が高くなります。動脈硬化は、脳梗塞(※2)や心筋梗塞(※3)の原因とされていますが、それらは日本人の死因の30%を占めるといわれていわれるほど、命にかかわる重大な病気です。

肥満の予防・解消のポイントは、しっかりとした咀嚼です。噛むことで、脳にある満腹中枢から「おなかがいっぱいだから食べなくていい」というサインが早く出て、摂食中枢からの「おなかがすいたから食べよう」というサインを抑制します。少量でも満腹感が得られ、肥満の予防につながります。

※1 動脈が硬くなり、血管が狭くなって血液を十分に送れず、臓器や組織が壊死する病気。
※2 血管に不具合が生じて、脳に酸素や栄養が十分に送られなくなり、脳の組織が壊死する病気。
※3 血管に不具合が生じて、心筋に酸素や栄養が十分に送られなくなり、心筋の組織が壊死する病気。

このように、しっかり噛めると全身の健康にさまざまな効果をもたらします。食事をするときには、意識的に噛む回数を増やすことが大切です。

自費の入れ歯治療に費用と時間がかかる理由

自費の入れ歯は「時間」と「素材」が最も違う

保険入れ歯と自費入れ歯の目的の違い

自費の入れ歯と保険の入れ歯の大きな違いは、「費用」です。そして、費用の違いは「時間」と「素材」の違いから発生します。

入れ歯は歯肉に支えられていますが、軟らかい歯肉を1回で精密に型取りすることは決して簡単ではありません。また、噛み合わせも時間をかけて細部まで丁寧に確認する必要があります。保険の入れ歯の場合、必要最低限の原状回復を目的としてつくるので、型取りや噛み合わせの確認に時間を割けません。入れ歯が完成するまでの期間は2週間から1ヵ月となりますが、装着後に微調整を繰り返さなければならないこともあります。自費の入れ歯の場合、精密な型取りや噛み合わせの確認を行ないます。入れ歯が完成するまで3ヵ月ほどかかってしまいますが、装着後に微調整する回数は少なくなります。


また、ひと言で「入れ歯」といっても多くの種類があり、使用される素材も多数あります。保険の入れ歯の場合、床(しょう…入れ歯の土台となる部分)や人工歯にはプラスチックしか使えません。毎日使うことですり減ってしまうので、1~2年でつくり替えたほうがよいとされています。部分入れ歯であれば、クラスプ(歯にかけるばね)には金属しか使えないので、審美面で劣る入れ歯となります。全体的に厚みがあるので、違和感や不快感、痛みを覚えやすく、快適な使い心地にするのは困難です。自費の入れ歯の作製には、床にシリコンや金属、人工歯にセラミック(陶材)などを使えます。種類により耐久性に違いがありますが、20~30年ほど同じものを使えることもあります。部分入れ歯であれば、クラスプに白く目立たない素材やクラスプのない入れ歯もつくることもできます。厚みが少なく違和感や不快感、痛みが起きにくく、快適にご使用いただけます。

そのほか、保険の入れ歯と自費の入れ歯の違いには「技術」も関係します。本当に高品質の入れ歯をつくるためには、素材の良さを活かしてそれに見合った入れ歯をつくれる技術者も必要なのです。つまり、入れ歯を作製する歯科技工士の技術力の違いも、入れ歯の品質に大きく影響するということです。

当院には技工士が常駐し、実際に患者さまの口を拝見して入れ歯を作製しているので、その方にぴったり合う入れ歯をご提供できます。 保険診療は費用負担が少ないことが挙げられ、自費診療は、入れ歯の材料の選択肢が広がり、使用感だけでなく、見た目にもこだわったものを選ぶことができます

反対にデメリットもありますので、歯科医師にご希望をしっかりとお伝えしたうえで、相談することが重要です。

自費の入れ歯なら、丁寧なつくりで使う人にぴったり合う形状に。保険で制限された素材ではなく、使い心地や耐久性に優れた素材での作製が可能!

必要最低限の原状回復を目的とした保険の入れ歯とは異なり、自費の入れ歯は機能性や審美性に細部までこだわり、良い素材を使って時間をかけて丁寧につくれます。そのため耐久性に優れ、使う人にぴったり合った形状の快適な仕上がりとなります。保険の入れ歯をお使いの方で、「食べることにストレスを感じる」「いま使っている入れ歯が合わない」などのお悩みをお持ちの方は、ぜひ自費の入れ歯をご検討ください



作製に時間がかかる理由は?

自費の入れ歯は保険の入れ歯に比べ、作製に時間がかかりますが、それにはきちんと理由があります。

設計が緻密

保険入れ歯と自費入れ歯の目的の違い

部分入れ歯の場合、保険の入れ歯は、クラスプ(歯にかけるばね)の部位や本数だけでなく素材も限られてしまうので、理想的な部位にクラスプをつけられないことや、強度を確保するために入れ歯自体を厚くせざるを得ないことがあります。理想的な部位にクラスプを付けられないと、クラスプをかける歯だけでなく残りの歯にも悪影響を及ぼし、歯がぐらついたり、最悪の場合は抜かなければならないこともあります。一方、自費の入れ歯は、歯の動きを想定して精密な型をとり、調整を繰り返しながらつくります。また、限りなく自分の歯に近い理想の噛み合わせになるようにつくります。そのため、以下のようなメリットが生まれます。

  • 軽くて薄く小さいが、耐久性に優れている
  • 着脱しやすいが、不意に外れることがない
  • クラスプをかける歯に加わる力を調整できる

これらのメリットにより、残りの歯や周りの組織に与える悪影響が少ないだけでなく、長期間安定した使い心地を得られます。

緻密につくることのメリット

  • 自然なフィット感を得るために薄く作製するので、違和感や不快感がない
  • 噛み合わせがきちんと合うので安定感があり、食事や発音に不自由しない
  • 素材や形状にこだわってつくれるので、自分の歯のように自然な見た目に仕上がる
  • 丈夫なので変形や破損に強く、長持ちする

入れ歯治療で使用する素材の比較

保険の入れ歯と自費の入れ歯では使える素材が異なり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

保険の素材のメリット・デメリット

  “保険診療”の入れ歯
メリット
  • 保険が適用されるので、費用が低価格ですむ
  • 完成までの工程が少ないので、通院期間が短くてすむ
  • プラスチックなので修理しやすい
デメリット
  • プラスチック製に限られるので、装着時に違和感や不快感を覚えることがある
  • 熱伝導率に劣るので、食事のおいしさを感じにくい
  • 強度や耐久性に劣るので、毎日使うことですり減りや変色が見られるようになり、破損する場合がある

自費の素材のメリット・デメリット

  “自費診療”の入れ歯
メリット
  • 薄く作製できる金属製のもの、クラスプ(歯にかけるばね)のないシリコン製のものなど、違和感や不快感のない自分に合った入れ歯に仕上がる
  • プラスチックに比べ熱伝導率に優れ、よりおいしく食べられる
  • 自分の歯のように自然な見た目に仕上がる
  • 強度があり耐久性に優れているので、変形や破損、変色しにくい
デメリット
  • 保険が適用されないので、費用が高額になる
  • 細部にこだわって丁寧につくるので、完成までの工程が多く、通院期間が長くなる
  • 修理が難しい場合がある

自費の入れ歯の初診 ─作製開始から完成・装着までの流れ

自費の入れ歯は、一般的に以下のような流れで作製します。症例によって異なりますが、初診から完成・調整まで3ヵ月ほどかかります。その後も定期検診を受け、3~6ヵ月に1回は口と入れ歯の状態を確認する必要があります。

自費の入れ歯の治療の流れ(工程と時間)

1. 初診・カウンセリング

現在お使いの入れ歯についての不満などをお聞きし、口の状態を検査します。

2. 治療計画の立案

口の特徴や残りの歯の状況を踏まえ、どのような入れ歯が適切なのかをご説明し、治療計画をお伝えします。
治療費用の見積もりもご提示します。

3. 歯と歯肉の型取り

既製のトレーを使って歯と歯肉の型を取ります。

4. 患者さまに合ったトレーの作製

1回目に取った型を使って、患者さまの口に合ったトレーをつくります。

5. 精密な型取り

患者さまの口に合ったトレーに顎、歯肉、舌、粘膜などの動きを表し、この型に石膏を流して正式な模型をつくります。
この模型を使って入れ歯をつくっていきます。

6. 噛み合わせの確認(1回目)

模型から作った土台を使って噛み合わせを採取します。噛み合わせが不安定な患者さまの場合、何度か確認をすることがあります。

7. 噛み合わせの確認(2回目)

上下しっかり噛み合う歯がある場合、噛み合わせは一定の位置に収まりやすくなりますが、上下の歯の噛み合わせがない場合や上下に歯が少ない方の噛み合わせは、一定の位置に収まらないことが多くなります。そのため、噛み合わせの確認は慎重に行なう必要があります。

8. 歯並びの仮合わせ(1~2回)

噛み合わせをもとに、入れ歯の装着具合、噛み合わせ、歯並びを考慮しながら人工の歯を並べます。この段階では蝋の上に歯を並べるので、好きな歯並びへと修正できます。歯並びも、噛み合わせと同じく何度か確認をすることがあります。

9. 完成

入れ歯が完成するので、調整して患者さまの口に合わせていきます。
入れ歯の手入れ・保存方法、日頃の口腔ケアについてご説明します。

10. 調整

新しい入れ歯は歯肉になじんでいないので、使いながら問題点を確認して噛み合わせや痛い部分を微調整し、しっかり噛めるようにします。

11. 定期検診

入れ歯を長持ちさせ、快適に使い続けるために、定期検診を受けてきちんと調整することが大切です。特に下顎は時間の経過とともに変化していくので、噛み合わせや適合を確認して、すき間などを調整する必要があります。入れ歯の調子が良いときでも3~6ヵ月に1回は受診しましょう。

保険外の入れ歯の種類

入れ歯は完璧ではない

デメリットをカバーできるインプラント治療

保険入れ歯と自費入れ歯の目的の違い

ここまでご説明してきたとおり、自費の入れ歯は保険の入れ歯に比べて機能面でも審美面でも優れており、快適な使い心地を得られるものです。しかし、自費の入れ歯は決して完璧なものではありません。総入れ歯と部分入れ歯によって大きさは異なりますが、人工的なものが口の中にあるという存在感は、多かれ少なかれストレスになるものです。また、いくら「しっかり噛めて見た目が良い」とはいえ、入れ歯は歯肉の上に乗せて使うものであるため、自分の歯と同じような使い心地を実現できるとまでは言いきれません。

このような入れ歯のデメリットをカバーできるのが、「インプラント治療」です。インプラント治療は、歯を失った部分の顎の骨に穴をあけ、そこにインプラントという人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取りつけて自分の歯の代わりとする治療です。歯肉は人工のものではなく自分の歯肉となります。インプラントはチタンという金属でできており、顎の骨に埋め込むことで骨にしっかりと固定されます。ずれやぐらつきなどがなく、外れるといった心配はありません。そのため、自分の歯と同じように力を入れて噛むことができます。入れ歯は、自分の歯肉の上に人工の歯肉と歯が一体となったものを乗せることで失った歯を補うものですが、その点がインプラント治療と入れ歯の決定的な違いとなります。

ただし、インプラント治療は自費となるので、高額になります。外科手術を必要とし、治療期間が長くなるので、患者さまの負担も大きくなります。また、治療が完了した後は、インプラント周囲炎(※1)を防ぐために自分の歯のとき以上に口腔ケアを徹底し、歯科医院で継続的にメンテナンスを受ける必要もあります。
※1 インプラント治療は人工歯を取りつけるので、虫歯にはなりません。しかし口腔ケアを怠ると、歯肉の腫れ、歯肉からの出血、口臭など歯周病と同じような症状が現れ、埋め込んだインプラントが抜け落ちてしまうことがあります。

このように、インプラント治療は良い点ばかりではありませんが、それでも自費の入れ歯に比べ機能性・審美性ともに優れた治療です(※2)。自費の入れ歯をお使いの方でも、「インプラント治療に興味がある」「入れ歯をやめてインプラントにしたい」などとお考えの方は、ぜひ当院までご相談ください。
※2 患者さまの症状などによってはインプラント治療よりも入れ歯のほうが合う場合もあるので、治療方法は担当の歯科医師とよく相談したうえで決定します。

インプラント治療

        

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